2010/04/01

連載 撮影回想 5 「フェスティバルゲート」


「フェスティバルゲート」

先日、『にくめ、ハレルヤ!』のロケ地であった「フェスティバルゲート」のそばを通りかかり、どんな様子かと中をのぞこうとしたが、入り口のシャッターが下ろされ入る事ができなかった。



関西にゆかりのない方にはあまり馴染みないかもしれないが、「フェスティバルゲート」というのは大阪市にあった娯楽施設のこと。「あった」というのは、今では管理会社が倒産し、大阪市が200億円の赤字を補填するなどの延命措置がとられたがふるわず、結局ほとんどのテナントとアミューズメントは撤退(路面に面したサンクスだけが営業している)。大阪市は土地建物の売却を開始し、昨年パチンコで有名な㈱マルハンが14億2000万円で落札(ちなみに開業時の総工費は約500億円)、総事業費55億円で2013年6月に開業予定だそうである。

フェスティバルゲートのそばにはJR環状線・今宮駅があり、線路を挟んだ反対側には日本一の労働者街・釜ヶ崎の街が広がっている。フェスティバルゲートが開演してまもない僕が高校生だったころ、電車で今宮駅を通り過ぎると、一方には親子連れがフェスティバルゲートに集まり、もう一報には職安に労働者が集まるという矛盾した光景がいっぺんに飛び込んできて強烈な印象を残した。

↓釜ヶ崎側から。奥のジェットコースターのある建物がフェスゲ。


撮影当時はすでにフェスティバルゲートはほとんどの店舗が閉店し、かわりにいくつかの文化系のNPO法人が運営していた。閉鎖までの秒読み段階だった。(NPO法人の1つ「cocoroom」でも撮影させていただいた。「cocoroom」は場所を変え今でも運営中→ http://www.cocoroom.org/


映画の中のフェスティバルゲート








文:板倉善之

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